さらにおとといの話を引きずって。
僕の中で変身映画の最高峰は(と言っても完全に趣味的で個人的な評価ですが)クローネンバーグ監督の「ザ・フライ」です。前にも一回書いたと思いますが、クローネンバーグはかなり好きな監督です。映画としては破綻しているような作品がほとんどだし、それほど才能溢れる映像作家だとも思わないのですが、彼のタナトス志向は本物だという感じがします。簡単にいっちゃえばヘンタイさんなんです。
クローネンバーグの物語を動かす原動力はコンプレックスとジェラシーです。ビデオドロームもそうだしクラッシュもそうだしザ・フライもそうです。裸のランチやイクジステンスはちょっと毛色が違いますが、ジェラシーの色は薄くてもタナトス志向であるところはまさにクローネンバーグです。
僕はこれらの映画を見ていると、クローネンバーグが自分が生きていることをドキュメンタリーとして記録しているような感じを受けます。映画の中では皮肉な結末や救いのない世界しか待っていないのですが、本人はそれらの映画を作ることによって、しかもそこで出来るだけ真剣に自分に向き合うことによって、結果的に自分を生かし続けているような風に思えるのです。
もし同じ様なモチーフや物語を他の監督がやっていたら、ただのポーズとしてしか作ることが出来ないぐらい、良く言えば独自、悪く言えばしょうもない話を、あのように「訳の分からない魅力」で包み込めるのは、彼が本気であるからに他なりません。そして本気であるとは、この文脈の中では「自分が正しく死ぬために生きる」ということです。


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