「あなたは死ぬのよ」
と俺の描いた女がディスプレイの中で言った。
俺は死ぬのか。今か、今死ぬのか。
こんなマンガみたいな女に死を宣告されるなんて思ってみなかったぜ。今日はまだ酒も飲んでないし、気分だって最低だ。それなのに死んじまうのかい。もしも明日が晴れるなら、一晩寝てさ、もうちょっと気分のいい場所で死ぬわけにはいかないのかよ。
女はドンドンでかくなって俺の視界を埋め尽くし、俺を取り込んだ。これが俺か?この落書きが。ひでぇもんだ。それにしても死ぬのがこんなに簡単でお粗末なものだったなんてがっかりだな。これじゃ夢も希望もあったもんじゃない。お釈迦様だってビックリだ。畜生、もうちょっと可愛く描いてやりゃ良かったか。逆恨みしやがって。最近は可愛く描こうとすると描く気が失せるんだよ。
俺はディスプレイと一緒にゆっくりと仰向けに倒れ込み、空を眺めた。
なんてデカイ雲だ。
くそっ、体が動かない。ほんとに死んじまったんだ。それなのに雲のヤツ、馬鹿にしたようなスピードで移動していきやがる。
俺は死体でいることにウンザリしたので、死体を止めることにした。最初からわかっていたんだ。死体だから動けない、体なんて捨てちまえばいいのさ。しかしここはいったい何処なんだ?そんな問いかけは馬鹿げていることはわかっていたが、まるで俺は此処を生まれる前から知っていて、生まれたあとにもそれを思い出すように何度も出会った場所なのに、生まれて初めてホントに此処にいるような気がしたのだ。此処は知ってる場所だ。それなのに俺はそれを初めて経験しているのだ。
それがわかった瞬間、世界の密度が急激に変化するのがわかった。これからホントに死ぬのだ。ホントのホントに死ぬのだ。
ホントに死ぬのか?俺が?


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