長い時間をかけて人は変わっていく。でもほんとにそうだろうか。自分なんて全く変わっていない気がする。ただ年をとっただけで。オジサンみたいな子は五歳の時からオジサンだ。
いろんな人がいて、その上に山にかぶさった笠雲みたいに社会というシステムが乗っかっていて、その雲の中では確かに人は変わるように見える。義理やカネに振り回されたり振り回したり、恥を掻いたり威張ったり、自信を持ったり無くしたり、病気になったりならせたり、でもその雲の中が全てじゃない。雲の中でいくら変わったところで変わらないものがある。
あんまり雲の中に長いこと居すぎると、変わらないものなんて見えなくなってくる。カラオケ屋に行っても買い物をしてもオシャレをしても、どこまで行っても雲の中だ。どうにもならなくなると、人は病気になったり失踪したり犯罪を犯したり絵を描いたりする。それらは救いになることもあればもっとどん底に落ちることになることもある。どん底も救いかもしれないけど。
雲は分厚い。でもそれしかないわけじゃない。所詮雲だ。分厚くて無くならないけど、所詮雲だ。たまには雲のない空を拝んだほうがいい。孤独が怖くなければ、それはいつでも可能なことだと思う。


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