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20041026: トヨタづくし

トヨタというのは日本で一番金を持っている会社だと人から聞いた。

電車に乗っていてぼんやりと外を眺めていた。車がたくさん走っていて、海沿いのその線からは、ひと気のない巨大な倉庫やインテリジェントビルなんかが見えた。ふと、社会っていうのはもの凄い単純なんではないかという気がしてきた。車と家と服と食い物と病気、そして気晴らし。まず、ひとりひとりのそれらを想像して、次に、それらが60億あるのだと考えてみた。なんだ、って気になった。それだけじゃん。それだけの結果がこれなんじゃん。

急に電車の中が空虚な空間に感じられた。ニセモノの箱に乗ってニセモノの景色を移動している。俺はトヨタの社内見学をしているのかもしれないと思った。上空 200メートルほどのところにはレーザー光線でトヨタの三文字が極太のゴシック体で投影されている。社内の自動車専用道路ではあらゆるユーザーを想定した耐久テストが繰り返され、何百万という社内食堂では、ハンバーガーから自炊用の豚肉から超高級中華料理まであらゆる食事が供され、使用している車種によって決められる社員住宅も木造二階建て家賃1万2000円のアパートから12LDKの一戸建てまでバリエーションに事欠かない。かくして世界はトヨタになった。が、ふと気づく。俺はトヨタを持っていないではないか。大丈夫、トヨタにぬかりなどない。いまやトヨタの開発理念には「自動車を利用しない人も車社会の一員です」というスローガンが掲げられていて、実のところ俺も「開発課精神効果調査部”トヨタ非利用者におけるトヨタ効果測定プロジェクト”に移動になったばかりなのだった。

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