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20080804: 優良物件

「優良物件 駅まで3分」という文章を見たときに、その文脈においては、3分よりは30秒の方が優れているという意味が読み取れるだろう。もしくは、それしかないんだ。この価値体系の中では歩かないでいいということが高い価値だ。

同様に、「エロ動画5万本」と書かれていたときには、5万本は1万本より偉いのだ。この価値体系の中では見たことがないのものが永遠に得られるということがより高い価値なのだ。

では、「駅までの所要時間120分」と書かれていた場合に、それが「駅までの所要時間3分」より優れているとされる価値体系が無いのかといえば、そんなものは普通に存在している。「エロ動画1本」の方が「エロ動画5万本」より優れている価値体系だって普通に存在する。つまり、歩くことをやり過ごすのか、歩くことを目的にするのか、見ることを目的にするのか、見ることをやり過ごすのか、という、正か負かの違いでしかない。どっちも同じだ。

こんな風に意味をひっくり返すことは易いけど、何にもならないと思う。利用価値の高さ低さは問題ではない。なぜなら駅までの距離をほんとに測ることは出来ないからだ。それは毎日変化する。エロ動画が何本あろうと、今見られるのは一本だけだ。優良物件は、今見たいものは、生成され続けているに過ぎない。

疲労とストレスが優良物件を持ち上げる。果てしない日常に飲み込まれまいと、血眼になって優良物件にかぶりつく。でも、いくらそんな努力をしようと、日常という名のテクノロジーから逃れることは出来ない。唯一の方法は、自分において発見することだけなんだと思う。「自分が」では無く。

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