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20090222: 冗長性とモダニズムの隙間に

自転車レースの世界は、おそらく現代において最も冗長性の排除された世界の内の一つだ。限界を超えて冗長性を排除しようとしている。そのような場所では、犬にぶつかっただけでホイールがクシャッとひしゃげたり、意図せず段差に乗り上げただけでステムが折れたりする。そもそもそれらの機材は、犬にぶつかることも時速40kmで段差に乗り上げることも想定していないのだ。そのような想定外の現実に出会わない限りにおいて、最高のタイムを叩きだせるように作られているのだ。だから50gのサドルは飛び乗りを許容しないし、800gのフレームは彼女と二人乗りすることを拒む。

一方で世の中のほとんどのプロダクトは冗長性に満ちている。高級感だとか、重厚感だとか、安心感だとか、単なる慣習によって、冗長性はもてはやされる。こちらの世界では、例えば実際の耐久性とは関係なく、500gのドアよりも20kgのドアの方が価値があり、現実的には地震の影響をより大きく受ける構造であるにもかかわらず、より深く地面に根ざした基礎に重い構造物を依存させることが良いものだとされる。そのような価値観の世界では、大いに冗長性は排除される必要がある。いったいどれだけの軽量化が出来ることだろう。

しかしその先に行く必要がある。重要なのはラジカルな中庸だ。過激なだけで柔軟性の無いモダニズムでもなく、ぬるい冗長性でもなく、必要とされる針穴を通らないといけない。発見すべきはそれぞれの超個人的な日常だ。個別であることの普遍性だ。そこにしか自由になれる道は無いと思える。

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