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KINOTROPEからの依頼でオリジナルの自転車を製作しました。設計は自分、CADデータ作成はGullCraft。実製作はGullCraftと二人での作業です。去年の9月から設計を始め、12月から製作を開始したので、1年がかりのプロジェクトになりました。いわゆるフレームだけのハンドメイドではなく、サドル、ハンドル、ブレーキレバー、フェンダーなども、全て一からの手作りです。


180122-03.JPG180110-11.JPG設計の意図としては、

  1. ジオメトリはかつてロードスターと言われていた車種をお手本としています。少々見た目重視に振ってしまっているため、軽快感は多少スポイルされていますが、基本的には絶対スピードは遅くても、より少ないエネルギーで距離が稼げる自転車。

  2. デザインはクライアントの希望もあり、真鍮を多用したりしてスチームパンクな要素を盛り込んでいます。また、かつての昭和中期ぐらいまでの実用車やカスタムモーターサイクルに見られるような、徹底的な作り込みがもたらす機械としての魅力を前面に押し出すべく、あらゆるパーツデザインの統一性を重視。要はメカオタも満足できる自転車にしたかった。おかげで重量的にはかなりのものになってしまいましたが。

  3. このジオメトリから導き出されるポジションは、後に加重が寄ったアップライトなものですが、このようなポジションにありがちな前上がりなイメージを排して、スポーティに見えるようにすると共に、ハンドルをマルチポジションにするなどして、多様な路面状況や風向きでも快適に乗れることを考慮しています。

  4. デザインやパーツ選定の一つの基準は自立性です。内装11段変速のスピードハブ、前輪ハブダイナモ、メカニカルディスク、前後フェンダー、スタンドなど。こういった部分は現代社会では半分はファンタジーみたいなものですが、出来るだけ「それ自体で完結している」イメージを出したかった。とは言っても作り込みの部分で遊びすぎてしまったので、メンテナンス性は推して知るべしと言うところ。そういう意味でのプロダクトデザインとしては失格ですが、この自転車に関しては「やればここまで出来るんだぜ」ということを示したかったので、作っているうちにそっちの気持ちが勝ってしまったということです。


DSC09440.jpg完成した自転車。水平ラインを基調とした1920年代ごろのモーターサイクルデザインを意識していたりします。乗り味に関しては、昔、セキネのとても古い実用車を所有していたことがあって、20kgほどもある重い自転車なのに、乗ってみるとなんともいえない安定感があって、非常に心地よかったことに驚きを覚えたのですが、その乗り味にも共通する安定感があります。強いて言えば「真ん中に乗っている」感じです。


DSC09374.jpgDSCF2509.jpgフレームは当初ステンレスの3Dプリントでラグを製作し、特注のカーボンパイプを接着し仮組みまで行ったのですが、プリント材質起因の剛性不足が発覚したため、溶接によるアルミラグと3AL2.5Vのチタンパイプで再製作したものです。


180917-01.jpgDSC09412.jpgDSCF2608.jpg180920-01.jpgDSC09455-02.jpgワイヤリングを最大限に強調したフロント周り。使用しているケーブルアウターは日泉ケーブルから提供していただいた”ネイキッドメタルアウター”と真鍮製パイプです。大きなシフターはシマノのALFINE11用のシフターを、内部構造だけを利用して新たに製作したもの。

ハンドルはGullCraftによる手曲げアルミ溶接。パイプはかなり肉厚のものを使用しているので、剛性は十分にあります。ヘッドライト後部のアルミ製のコーンは1mmのアルミ平板からの鍛金です。朝顔タイプの真鍮ベルも製作したものです。


DSCF2591.jpg1180921-01.JPGブレーキレバーもオリジナルデザインです。バンド締めでディスクブレーキ対応のリバースレバー。


DSCF2625.jpgDXSjUfuU8AAEVwo.jpg専用にデザインした革サドル。改善点はまだ数箇所ありますが、設計時に目指した、最初から乗り心地がよく、耐久性があり、軽量な革サドルという目標に対するプロトタイプとしては、十分な役割を果たせたかと思っています。サドルだけの製作過程をまとめたTwitterMomentはこちら

シートステイはウレタンダンパーつきですが、タイヤのクッション性があまりに良すぎるので過剰装備になっているような状態。もう少し柔らかいセッティングにしたら面白いかもしれません。


DSCF2618.jpgDSCF2612.jpg必要最低限で十分な役割を果たすことを狙った前後フェンダー。GgullCraftによる叩き出しです。フェンダーステーは板厚に余裕を持たせてしっかりと剛性を出しています。


DSCF2636.jpgDSC09492.jpgボトムブラケット周り。真鍮版から切り出したクライアントロゴのついた、チェーンテンショナーつきチェーンガード。オリジナルパターンのチェーンリング。カーボンパイプで軽量化したエスゲのダブルレッグスタンドをブラケットを延長して取り付け。ペダルは三ヶ嶋のペダルをベースにプレートを手作りしています。両面フラットで足の位置が決まりやすいようにサイドストッパーをつけた昔からのデザインで、底の広いスニーカーでも踏めるように幅広に設計しています。


detail01.jpgケーブル小物各種も手作り。設計段階ではここまで詰めることができなかったので、かなり試行錯誤してまとめた部分。


detail02.jpg鍵付きのツールボックスやステーなど。


DSCF2512.jpg

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DSC09430.jpgこれまで自転車に関して考えてきたことを集大成的にまとめようと意気込んで製作を始めたわけですが、完成してみると逆に課題が大量に出てくるという、よくあるパターンになっています。しかしこういうことは作らないとわからないことなので、ひとまずは形に出来てよかったです。重量無視の作りこみに関してはかなり満足したので、次はこの設計をベースに10kgぐらいの自転車を作ってみたいと思ったりしますが、それは機会があればということで。

下記リンクに詳細な製作レポートなどもまとめてありますので、興味のある方はどうぞ。
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設計:Tomomi Sakuba
CAD:Gull Craft
製作:Tomomi Sakuba/GullCraft
Client:KINOTROPE
Special Thanks:NISSEN CABLE
Tomotoshi Kaiho
製作レポート1:自転車製作その1(Twitter Moment)
製作レポート2:自転車製作その2(Twitter Moment)


DSCF2500.jpg

2018nenga1000.jpg明けましておめでとうございます。観光地シリーズ第三段です。だんだん辛くなってきた。でもなかなか賑やかなのが出来たので良し。

去年はHENGEで久しぶりにそれなりの数の絵を描きましたが、今年は自転車の年です。昨年の9月あたりからずっと設計をやっているプロジェクトがありまして、これを形にします。お楽しみに。

今年もよろしくお願いします。

unnamed.jpgこの1年ほど関わっていたアプリが公開されました。
HENGE(変化:へんげ)。流行りの顔認識アプリの怖いバージョンみたいなものです。生成される画像は、目や口などのパーツごとに組み合わされるため、相当な種類のバリエーションが生成されますので、変顔自撮りのお供に、クリーチャーデザインのお供に、変身願望の実現に、ぜひ遊んでやってください。
《IOS版》

《Android版》


henge_636302239947129450.jpghenge_636305514816212860.jpghenge_636301279705439770.jpghenge_636301275423867240.jpg上のカバー画像の高解像度版


henge_cover.jpg

170807-02.jpg久々の自転車ネタです。
半年ほど前にカメラが壊れてカメラを買い換えたのですが、初めてのレンズ交換式カメラで写真を撮るのにはまってしまい、自転車に乗って写真を撮りに行ったりしていました。ところが自転車に乗っていくと、あまりにも乗り降りが激しくて、トゥクリップに足を突っ込むのが面倒だったり、スタンドが欲しくなったりで、どうしても自転車をいじりたくなってしまったのです。というわけで散策自転車を徹底させるべく、ポジションから大幅見直しとなったのでした。

まずはスタンドを装着してペダルは三ヶ嶋のSILVAN STREAMに。スタンドはフレームチューブを押しつぶすようなクランプは使用せず、接触面が大きくて軽量なクランプを削りだしています。ペダルはこれまでにもMTB用のフラットペダルやアルミ押し出し材を使った軽量ペダルを試したことはあったのですが、主に足の踏み位置が決まりにくいという理由で使うのがいやになってしまったのでした。やはりペダルシャフトと踏み面の位置にある程度の落差のあるペダルが使いやすい。


170807-01.jpg次にハンドル周り。前のアップハンドルも決して悪くはなかったのですが、120mmのステムを使ってもまだハンドルが近すぎたり、アップライトポジションの限界が低かったりで、びしっとポジションが出ていたとは言い難かった。なので思い切ってフォークをカーボンからスチールに戻してスレッドステムを導入することに。すごい重量化ですが、まあ輪行をやらなければ許容範囲です。この状態でも8Kg後半ってところです。使っているステムはルイステムとかいう商品名でとっても安くて重いやつです。そしてハンドル。NITTOのノースロードバーですが、現行品ではないやつで、幅が少し狭くて260gとそこそこ軽いものです。これにTEKTROのFL750というブレーキレバーを組み合わせています。


170807-05.jpgここまで決まったところで試乗を繰り返してポジション出し。500kmぐらい走ったでしょうか。いろいろ試しましたが、サドルは8mmバック、3mm下げ、ちょい前上がり、ハンドルは現状の高さが前後2:8ぐらいの荷重分布です。ここからさらに2~3センチほどハンドルを上げると完全にハンドルから荷重が抜けるところまで行きますが、これはかえって腰に良くないことがわかったので、ちょっと前に加重を残すぐらいが一番楽でした。しかし、前回のほぼ水平ポジションと比べて、あまりの違いに驚くやら面白いやら。

決して良いことばかりではなく、マイナス面もあります。まず使用しているフレームに対して明らかにテールヘビーです。最初に驚いたのはあまりにも後輪の接地面の情報がダイレクトに来るのでホイールが歪んだのかと思ったぐらい。次にこれまで痛くもなんともなかったサドルが急に乗り心地の悪いサドルに変化してしまった。前者はもう慣れましたが、サドルはアルミ製なので強引に曲げ直しました。フレーム変えろという意見はごもっともですが、まあやってみたかったんです。だいたいこのポジションにちょうどいい軽いフレームなんてまず手に入らないですから。

で、良い面。これは楽ちんの一言に尽きます。長距離も何の問題もなく、疲労は明らかに少ない。ただしドロップハンドルなどのポジションに比べるとアベレージは落ちます。これは上げられないという意味ではなくて、そのように走ったほうが気持ちがいいので結果的にアベレージが下がるということです。でも写真を撮ったり路地に入ったり寄り道をしたりするにはかえって好都合です。見たいものが良く見える、立ち止まりたいときに躊躇なく立ち止まれる、という性能が欲しかったわけですから。

でもサドルは、ここまで荷重が掛かるようになると革サドルにしたくなる。しかしこのポジションが出せる市販サドルはありません。なので欲しければ作るしかない。実は革サドルはすでにオリジナルのを作っていたりします。


150128.JPGこれは3年ほど前に作ったTimrck用の自転車です。ワンオフのキャリアにチェーンガードにフロントフェンダーにライトステーに革サドル。友人からはデコチャリとか言われていますが、いやいや、そんなことないっしょ。かっこいいよ、と自分では思っています。そうそう自転車はやっぱりカッコ良くないと、ってことで今回一番苦労したのがヘッドライトです。


170807-06.jpg170807-04.jpgやっぱりアップハンドルの何が抵抗があるかというと、かっこ悪いという思い込みが抜けないところなわけで、これをどうにかするには、それなりにボリュームがあってイカしたヘッドライトを正しい位置に装着するしかあるまい、となって、探し出しました。5万円もするようなビンテージライトじゃなくて、中国製のバイク用テールライトです。このクソ重くてリフレクターも何にもついていないアルミの塊を削りまくり、LEDユニットと電池を仕込んで、仕上げにアルミのファスナーを自作しました。これを自作のライトステー兼フロントキャリアに取り付けて、とりあえずは悦に入って眺められる姿に、なったかなー

DSC01999.gifシステムに囚われている時、俺は不自由だが、不自由な俺には目的がある。その目的とは、他人から頼まれた仕事をそつなくこなすことであったり、その評価であったり、給与の額であったり、オークションの落札価格であったり、レアアイテムの入手であったり、他人より速く移動することであったり、より少ないエネルギーで結果を出すことであったり、円滑なコミュニケーションを前提とした日々の安定であったりする。

システムとは人に目的を与えるものだ。目的を与えられた人はシステムの奴隷となる。そのようにして人は奴隷であることを欲するのだ。これはおそらく生存本能の一側面であり、そのようなベクトルが消え去ることはないのだろうと思う。優れたシステムとはより多くの人々を奴隷化し、主人と奴隷のわけ隔てなく、すべての人がメタレベルにおいて奴隷となることができるようなシステムのことを言うのだろう。

では、自由とは何か。自由とはシステムの内側においてシステムの外側を志向すること、その態度そのものであるように思える。つまり自由もまたシステムから生まれた目的の一形態なのだ。それは皮肉な見方をするならば、システムが健全に奴隷制度を維持するための必要な運動であるように思える。硬直した奴隷制度は永続性を獲得できないからだ。奴隷制度が恒久的に機能するためには、奴隷制度の更新が必要であり、そのためにはシステムを否定する自由が必須となる。

しかし生命には、あらかじめ約束されている絶対的な自由もある。もちろんそれは死だ。それはあきらかに、このうようなシステムの外側にある。むしろシステムを作り出した原動力であるといってもいいのかもしれない。その場所から俯瞰するならば、あらゆる目的を生み出し、あらゆる人々を奴隷化するシステムは、完全なる自由の内側で生成していることになる。それは素晴らしい救いだ。草原を渡る風の気持ち良さに嘘はないのだ。

2017nenga.jpg明けましておめでとうございます。観光地シリーズ第二段です。続けるのか、俺。

なんか年賀状ブログのようになってますが、テキストはTwitterでグダグダと書いていました。サクバの書いたとりとめないテキストでもいいから読みたいという奇特な方はどうぞ。とは言え、何にもしていなかったわけではなく、裏でこそこそ働いています。今年はいくつか告知できることもあるはずです。お楽しみに。

それでは今年もよろしくお願いします。

想像力とは目の前にすでにあるものにどれだけ寄り添えるかの力だ。
想いを形にすることなどではない。目の前の像に想いを馳せる力だ。
そこに必要なのは、自己へのこだわりでは無く、自己の無化なのだ。

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