急に思い立って蛍を見に行ってきました。
都会の人は蛍なんて聞くと随分遠くまで行ったんだなぁ、と思う人もいるかも知れませんが、家からバイクで15分ぐらいの所です。花火ほどではありませんが、蛍もよく見に行くんです。
そこは元貯水池として利用されていた湧水のある湿原で、東京から川一本隔てた街ににあるとは思えないほど木がたくさん生えていて虫もいっぱいいます。今日などは涼しかったので、まるでどこか山の上の湿原に来たような感じさえします。なかなかいいところです。今は公園として管理されていて普段は夜は入園できないのですが蛍が発生するこの時期だけ夜の8時30分まで「蛍鑑賞会」として公開されるのです。
実はもっと近くにもう一カ所蛍がいるところがあるのですが、こちらはただの斜面に沿った舗装道路脇、ほんの少し湧き水が出ているところがあって、そこでも見ることが出来ます。車なんかで走っていたら絶対気が付かずに通り過ぎてしまうような所です。実際見つけても、「何故こんな所に」と驚いてしまうような場所で、これはこれである意味風情のあるとこです。でもせっかくの夏の夕方、散歩も兼ねてとなると高原のような湿地帯の方が、ねぇ?
ちょうどすぐ近くにある身内がやっているバイク屋に用事もあったので、そこにバイクを止めさせてもらって、のんびり歩いていくことにしました。ヒグラシも鳴き始めてイイ感じです。途中コンビニによって白ワイン一本とコロッケとメンチカツバーガーを調達。
ところがいざ着いてみるとやたらに人がいっぱいでビックリしてしまいました。いつもの五倍ぐらいの人がいるのです。なんで?前はパラパラしか人がいなくて静かでよかったのに、何なんでしょうこの賑わいは。これも不況のせい?
仕方ないのでうるさい家族連れや子供会集団がいなくなるまでワインをラッパ飲みしながらコロッケをつまんで待つことにしました。だってこの行列に加わって散歩するぐらいなら、蛍がいるということがわかっている場所で蛍を見ずに涼しい空気を楽しむ方がいくらかマシってものです。
しかし子供というのは哀れな存在ですね。「おうち帰ったら蛍の勉強しようねぇ」「こっち来い!お父さんの手の中に蛍がいるぞ!」............
何故親というのは全てを台無しにしていくのでしょうか?あ、そこのお父さん、杉の木を見たってカブトムシはいないよ。お願いだから人の顔を懐中電灯で照らすのはやめて下さい。ワインぐらい飲んでてもいいでしょ?(ちなみに僕は家族見物をしながら、飛んできた立派なオスのカブトをゲットしました。今年はこれが初物です)
それでもしばらくすると急に静かになってきました。さ、行きましょか。
今年も蛍は淡い緑色の光りをチラチラさせて生きていました。あまりに小さい光りなので、蛍を探そうとするとあらゆる闇に蛍がいるような気がしてきます。
思えば蛍を初めて見たのってオトナになってからでした。子供の時にはとても憧れていたのにずっと果たせなかったんです。でもこうして何度も蛍を見に来ていると、ずっと昔から見てきたような気がしてきます。やっと自分の世界の中に蛍が住み着いたんですね。